EUにおける包装・包装廃棄物規則(PPWR)に係る分析

PPWRとは
EUにおいて、包装・包装廃棄物規則(PPWR:Packaging and Packaging Waste Regulation) が発行されました。欧州委員会は、包装廃棄物の削減や資源循環の促進を目的として、2025年2月に本規則を発行しています。
PPWRは、これまでの「指令」とは異なり、EU加盟国に直接適用される「規則」です。
そのため、EU市場に投入される包装製品には、国ごとの差のない統一した要求事項が課されることになります。
EU向けに製品を供給している企業では、
- 自社の包装材が規制に抵触しないか
- 要求された際に、科学的根拠をもって説明できるデータをどう準備するか
といった対応が、すでに求められ始めています。
PPWRにより包装に課される要件と規則の適用時期
EU市場で販売される包装製品は、PPWRで定められた7つの要件を満たさなければなりません。
PPWRで示されている包装に関する主な要件は、以下のとおりです。
- 有害物質の使用規制
(Requirements for substances in packaging) - リサイクル可能な包装
(Recyclability of packaging) - プラスチック包装の最低リサイクル含有割合
(Minimum recycled content for plastic packaging) - プラスチック包装におけるバイオベース原料の使用
(Use of biobased plastics in packaging) - 堆肥化可能な包装
(Compostable packaging) - 包装の最小化
(Minimisation of packaging) - 再利用可能な包装
(Reuse and waste prevention)
このうち、有害物質の使用に関する規定は2026年8月から適用される予定です。
その他の要件についても段階的に適用が開始され、内容によっては2030年頃からの適用が想定されています。
そのため、EU向け包装材については、将来の規制適用を見据え、早い段階から含有物質の把握と評価を進めておくことが重要となります。
有害物質規制の内容
金属類に関する規制
PPWRでは、包装材中の以下4元素が規制対象とされています。
- カドミウム(Cd)
- 鉛(Pb)
- 水銀(Hg)
- 六価クロム(Cr(VI))
これら4元素の合計濃度が100 mg/kgを超えてはならないと定められています。
顔料、インク、添加剤、金属部材などに由来し、非意図的に含有するケースもあるため、分析による確認が不可欠です。
PFASに関する規制
食品用途の包装材については、PFAS(有機フッ素化合物)に関する規制も設けられています。PFASは耐水性・耐油性などの特性から広く使用されてきましたが、環境中での残留性が高いことから、欧州では規制が強化されています。
PPWRでは、以下の基準が設定されています。
- 個別PFAS:25 μg/kg 以下
- PFAS総量:250 μg/kg 以下
- 総フッ素量:50 mg/kg 以下
特定成分だけでなく、PFAS全体および総フッ素量としても評価が求められる点が特徴です。
東海テクノでのサービス
東海テクノでは、PPWRにおける有害物質規制への対応を目的とした分析サービスを提供しています。
金属類分析
規制対象となる金属について、以下の手法で測定を行います。
- カドミウム、鉛:ICP-質量分析法(ICP-MS)
- 水銀:加熱気化原子吸光光度法
- 六価クロム:吸光光度法
PFAS分析
PFASについては、ISO 21675に規定される30成分を測定対象とし、LC-MS/MSにより分析を行います。
また、PFASをフッ素量として評価するため、燃焼-イオンクロマトグラフ法による総フッ素分析にも対応しています。
EUにおける包装・包装廃棄物規則(PPWR)に係る包装材中の金属類分析、PFAS分析については、東海テクノまでお気軽にご相談ください。
よくある質問
日本企業もPPWRへの対応が必要ですか?
はい、対応が必要です。日本国内で製造された製品であっても、EU向けに製品や包装材を輸出・提供する場合はPPWR(EU包装および包装廃棄物規則)の対象となります。サプライチェーン全体を通じ、規制対象物質が含まれていないことを説明できるエビデンス(分析データ等)の準備が求められます。
どのような包装材や構成部材が分析対象になりますか?
プラスチック容器や紙製包装はもちろん、ラベル、インク、接着剤を含むすべての包装構成部材が対象となります。規制対象となる重金属(カドミウム、鉛、水銀、六価クロムの4元素合計100 mg/kg以下)や、食品接触用途でのPFAS(有機フッ素化合物)の含有リスクがある部材については分析による確認をおすすめします。対象可否については個別にご相談ください。
分析結果のレポートはPPWR適合の証明になりますか?
分析データは、PPWR適合性を証明するための極めて重要かつ客観的なエビデンス(科学的根拠)となります。ただし、法令適合の最終判断には、分析結果に加えて製品用途、材質情報、サプライヤー情報(SDSや不使用証明書等)を含めた総合的な評価が必要となります。
東海テクノではどのような分析方法に対応していますか?
重金属4元素(Cd, Pb, Hg, Cr(VI))の定量分析のほか、PFAS分析および総フッ素分析に対応しています。
- PFAS分析: LC-MS/MS(液体クロマトグラフ質量分析計)を用い、ISO 21675規格で規定される30成分などの特定成分を高感度に測定します。
- 総フッ素分析: 燃焼-イオンクロマトグラフ法(燃焼IC)を用い、試料中に含まれるフッ素量を包括的に測定します。
「PFAS分析」と「総フッ素分析」の違いは何ですか?
PFASは多数の有機フッ素化合物の総称であるため、特定の成分のみを測定するだけでは全体の含有状況を網羅できない場合があります。PPWRでは個別成分に加え、総量的な評価も求められるため、包括的にフッ素量を把握できる「総フッ素分析」をスクリーニングや補助評価として活用することが有効です。東海テクノでは目的に応じて両分析を組み合わせた最適なプランをご提案します。
少量の試料でも分析を依頼できますか?
分析項目(重金属、PFAS、総フッ素)や包装材の材質・形状によって必要な試料量は異なります。お見積もり時に必要な試料量を丁寧にご案内いたしますので、手元に少量しか試供品がない場合もお気軽にお問い合わせください。
規制対応のため、まず何から始めればよいですか?
まずはEU向けに使用されている包装材の種類や構成材料(フィルム、インク、接着剤等)を洗い出し、重金属やPFASの含有リスクを整理することをおすすめします。どの部材・分析項目から着手すべきか判断がつかない場合も、東海テクノまでお気軽にご相談ください。
