化学物質リスクアセスメント

労働安全衛生法の見直しにより、避けては通れなくなった「化学物質リスクアセスメント」
長く作業環境測定を実施してきた東海テクノでは、その経験を活かして化学物質濃度測定からリスクアセスメント、またリスク低減措置と維持管理まで一貫した対応とご提案をさせて頂きます。

化学物質リスクアセスメントとは

職場で使用している化学物質が持つ有害性を見つけ出すこと。労働者への健康障害を生じるおそれの程度を見積もること。リスクを低減し対策を行うこと。これが「化学物質リスクアセスメント」です。

化学物質リスクアセスメントを実施する目的は、主に二つ。一つは、化学物質の使用に伴う事故や健康被害を予防し、従業員や顧客、地域社会の安全と健康を確保すること。もう一つは、化学物質の排出や廃棄による環境汚染を防止し、持続可能な社会の実現に貢献することです。

化学物質リスクアセスメントを実施する効果は多岐にわたり、例えば以下のような効果が期待できます。

・化学物質の安全性や法令遵守のレベルの向上
・化学物質の使用量やコストの削減
・化学物質のイノベーションや競争力の向上
・化学物質の社会的な信頼性や評価の向上

化学物質を取り扱う企業が、化学物質リスクアセスメントを実施することは、企業自身だけでなく、社会全体にとっても重要な意義とメリットがあるのです。

化学物質リスクアセスメントが法改正で義務化(2023年4月1日施行)

かつての労災防止策は災害発生後にその原因調査と再発防止策を確立するものでしたが、その方法では潜在的なリスクは見落とされやすい問題がありました。さらに近年では技術の進展によって様々な機械設備や化学物質が導入され、事業場における危険性・有害性も多様化しつつあります。

そのため安全衛生対策の見直しによってリスクアセスメントが導入されることとなります。2014年6月、労働安全衛生法が改正され、SDS(安全データシート)交付対象である640物質(現在674物質)のリスクアセスメントの実施が義務化されました。この時点ではリスクの低減対策については努力義務とされていましたが、2022年さらに労働安全衛生法が改正されます。ここで労働者がリスクアセスメント対象物にばく露される濃度の低減措置についても義務化されました。(2023年4月1日施行)

罰則はありませんが、実施すべき要件に該当する場合に実施していなければ法律違反になり、労働基準監督署の行政指導の対象となります。

 

化学物質リスクアセスメントの対象企業・事業場

業種、事業場規模にかかわらず、リスクアセスメントの対象となる化学物質の製造・取扱いを行うすべての事業場が対象となります。例えば少量・多品種を取り扱う試験研究業や大学の研究室等でも、適用除外にはなりません。また、化学物質とは無関係と思われる企業も対象となり得るのがポイントで、製造業や建設業だけではなく、清掃業・卸売業・小売業・外食産業・医療福祉業等も対象となる可能性があります。

化学物質リスクアセスメントの対象物質

労働安全衛生法施行令別表第9及び別表第3第1号に掲げるラベル表示・SDS交付義務がある物質です。現在は約700物質ですが、今後約2,900物質まで拡充する予定とされています。

 

化学物質リスクアセスメントのやり方・手順

化学物質リスクアセスメントは、大きくは次に示す5つのステップで進めます。事業者は事業場内の担当者にそれぞれの役割を担わせて、リスクアセスメントを実施します。

STEP1 化学物質等による危険性または有害性の特定

作業標準等に基づき、リスクアセスメント等の対象となる作業を洗い出し、使用している原材料のSDSに記載されているGHS分類結果に即して危険性または有害性を特定。リスクアセスメントを行う作業、設備等を特定する。これは対象の化学物質等を製造し、または取り扱う業務ごとに行う。

STEP2 リスクの見積り

危険性については、危険を及ぼし健康障害を生ずるおそれの程度(発生可能性)と当該危険の程度(重篤度)により、リスクを見積もる。有害性については、化学物質等にさらされる程度(ばく露の程度)と有害性の程度によりリスクを見積もる。リスクの見積もりは実測値による手法、工学的推計の他、簡易リスクアセスメントツールによるばく露濃度の推定がある。「職場のあんぜんサイト」で公開されている簡易リスクアセスメントツールの代表的なものには、厚生労働省版コントロールバンディング、クリエイトシンプル(CREATE-SIMPLE)などがあげられる。

STEP3 リスク低減措置の検討

リスクアセスメントの結果に基づき、労働者の危険または健康障害を防止するための措置の内容を検討する。検討に際しては次の優先順位で検討を進める。

1) 代替物等の使用
2) 発生源の密閉化、排気装置
3) 作業方法の見直し
4) 保護具の着用

STEP4 リスク低減措置の実施

リスクアセスメント対象物については、労働者のばく露を最小限度とすること、および濃度基準値が設定された物質については濃度基準値以下とする措置を講じなければならない。また、それ以外の検討したリスク低減措置についても速やかに実施するよう努める必要があります。

STEP5 リスクアセスメント結果等の労働者への周知

リスクアセスメントを行ったときは、記録を作成し、次にリスクアセスメントを行うまでの期間保存するとともに、当該事項をリスクアセスメント対象物を製造し、または取り扱う業務に従事する労働者に周知させる必要があります。周知の方法は次のいずれかによります。

1) 見やすい場所に掲示または備え付ける
2) 書面を労働者に交付する
3) 磁気ディスクなどの記録媒体に記録し、内容を常時確認できる機器を設置する。

東海テクノの強み・サポート体制

作業環境測定をはじめ、リスクアセスメントの構築サポート事業を行う株式会社 東海テクノ(本社:三重県四日市市)では、化学物質管理者の選任要件を満たすための厚生労働大臣が示す内容に従った専門的講習を随時開催しています。労働衛生コンサルタントの資格保有者が講師を勤め、長年に渡る経験、また専門的な視点から化学物質管理者に必要となる要件を分かりやすくお伝えします。

化学物質管理者講習

保護具着用管理責任者講習

また、改正法の特徴的な措置として作業環境の悪化、労働災害等の対応として作業環境管理専門家(外部の人)、化学物質管理専門家(外部の人が望ましい)の選任があります。当社では従来業務である作業環境測定の実施及び職場改善の提案に加えて、新たなサービスを始めることを決定致しました。事前に作業環境管理専門家や化学物質管理専門家の選任を行い、更には定期的に外部監査を行うなど、有事に備えての体制作りをお支えします。

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よくある質問

個人ばく露測定について教えてください。

有害性リスクは、「ばく露量」と「有害性の大きさ」から、定量的手法を用いてリスクの大きさ(有害性リスク)を把握することができます。最も代表的な方法とされているのが「個人ばく露測定」による結果を用いることとされています。作業者の呼吸域における化学物質の濃度を測定(ばく露量)し、その測定濃度と安全性の指標(有害性の大きさ)である「ばく露限界値」と比較して有害性リスクを評価します。
ばく露限界値は、労働者が1日8時間、週40時間程度、肉体的に激しくない労働強度で化学物質にばく露する場合に、当該化学物質の平均ばく露濃度がこの数値以下であれば、ほとんど全ての労働者に健康上の悪い影響が見られないと考えられる濃度とされています。

ホームセンターで購入した化学品に対象物質が含まれていました。リスクアセスメントは必要でしょうか?

リスクアセスメントは、ラベル表示又はSDS通知対象物に実施義務があります。一般消費者の生活の用に供されるための製品については、ラベル表示・SDS交付の義務がないのでリスクアセスメントの実施義務はありません。ただし、リスクアセスメント対象物以外の物質についてもばく露される濃度を最小限とする努力義務があるので、必要に応じてリスクアセスメントを実施するように努めてください。

リスクアセスメントは1度行うだけでいいですか?

①対象物を原材料などとして新規に採用したり、変更したりするとき

②対象物を製造し、または取り扱う業務の作業の方法や作業手順を新規に採用したり変更したりするとき

③SDSが改定され対象物による危険性または有害性などについて変化が生じたり、生じるおそれがあったりするときに法律上に実施義務があります。

屋外での作業もリスクアセスメントは必要ですか?

リスクアセスメント対象物質が含まれる物質を製造・取り扱う作業であれば必要です。

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