品質向上への取り組み

測定・分析データにはモノとしての形はありませんが、品質の厚みを持っていると考えています。

品質に関わる規格の取得だけでデータの品質を担保できるわけではありません。その規格運営に魂が入っていること、品質に関わる全ての行動が“仕組み”の中で運用されることを目指しています。

とはいえ、その仕組みを作り、動かし、改善していくのはやはり人。社員の流動性が低いことは一般的にはデメリットもあるようですが、こと当社の品質においては一番の強みでもあります。常に昨日以上の品質を目指す活動の継続性を持って高い品質のデータを提供することこそが、新たな課題の解決や分野展開を進めるお客様への基本姿勢であると考えているからです。

その取り組みの一部は次のようなものです。

精度管理試験への積極的な参加

<内部精度管理>

・個々の分析でのQC試料による管理、セルフチェック、検量線の傾向チェック実施

・四日市/松阪の両分析センター間における、ブラインド試料によるクロスチェックを定期実施

・PER(Partner’s Eyes Review)による作業のSOP不記載事項やコンタミ懸念などのチェック

<外部精度管理>

・環境省、日環協のSELF、学会技能試験や地域及び国際計量団体のクロスチェックへの参加

R4年度

参加試験数
参加

項目数
評価結果
8

( 3 )
22

( 11 )
A:22

( 11 )
100%

(100%)
B: 0

( 0 )
0 %

(  0%)
C: 0

( 0 )
0 %

(  0%)

※( )内数値:水道法第20条にかかる水質検査に関する事項

独自のLIMSシステムによる品質管理の高度化

  一般的にLIMS(Laboratory Information Management System)と呼ばれる調査・分析データの管理と業務の管理を行う当社の基幹システム「TECH22」。その原型は23年前に当社独自に構築され、その後最新のDBMSやOS、セキュリティに対応しながら、今日まで品質と生産性向上に向けた改良を社内IT部門で重ねてきました。ミスを出さない工夫を高いレベルで組み込み、工程管理・データ作成から顧客管理・経理処理までのデータの流れやチェックを仕組みで回しています。

システムの品質関連機能例(分析部門)

誤使用を許さない試薬の管理システムの導入

 当社では自社開発した試薬管理システム「LABEIS-RS」で常時保管している2000本程度の各種試薬を管理しています。納入された試薬に独自のバーコード付きのラベルを貼って運用することで、試薬の検索、開封や廃棄の登録をその場で行えるほか、電子天秤と連動させて毒物試薬使用時の自動での秤量記録やマネージャーの電子承認を行っています。保有試薬の確認には手元のタブレットに試薬名を入力しますが、保管場所や開封日が確認できるだけでなく、その試薬が有効期限内を過ぎていると赤く表示され、有効期限を過ぎた試薬の誤使用を防ぎます。

管理値超過時のセルフチェック

 QCサンプルや内部標準等の回収が良好でも、それで採水~分取~前処理~装置分析までの過程を経た分析値が正しいとは限りません。例えば分析値は入力と同時にそのサンプルごとに定められた管理値との照合が自動的に行われます。

 

 法的な基準値はもちろん、お客様独自の管理値、前回値や過去の最小・最大値との比較、過去5年での最小・最大、初検出・初未検出、偏差からの疑義傾向などいくつもの関門で“間違いは起きる”ことを前提にデータはシステムに検証されます。

 

 例えば管理値を超過した時、もちろん出来る限り速やかにお客様に速報すべきところですが、その時間との戦いの中で転記・希釈・計算・シーケンスなどなど独自の9項目に及ぶ分析の正しさを確認していくセルフチェックが行われます。その他システムは日付や時間の矛盾などもチェックします。

同じ品質異常を繰り返さない対策立案のルール

 人の手が関わることがゼロにはできないお見積、受注から採取、分析、そして報告という一連の業務。日々改善を重ねていても品質異常は年に数件発生します。同じ過ちを繰り返さないために発生から1週間以内に対策立案が関係者と役員で行われます。その時のルールが、今回の決め事や方策を知らなくても・忘れても機能する仕組みがあること。対策案にはそれがあるかどうかが厳しく問われます。

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