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工作物の石綿事前調査とは? ~2026年制度改正で求められる有資格者による調査と対応ポイント~

公開日:2026年3月30日

2026年1月、石綿(アスベスト)事前調査の制度は新たな段階に入りました。これまで主に建築物を中心に制度化されていた石綿事前調査ですが、制度改正により煙突やプラント設備などの工作物についても対象が拡大されました。

2026年1月1日以降に着工する一定の対象工作物の解体・改修等工事では、有資格者等による石綿事前調査の実施が必要となっています。工場設備やインフラ設備など、これまで建物とは別に扱われることが多かった設備についても、事前に石綿の有無を確認することが制度として明確に求められるようになりました。制度はすでに施行されており、現在は移行期間ではありません。対象となる工事では、着工前に適切な石綿事前調査体制を整備することが重要になります。

工作物の石綿事前調査とは

石綿事前調査とは、解体・改修工事を行う前に、対象となる建築物や工作物に石綿含有建材等が使用されているかを確認する調査です。石綿は吸入することで健康障害を引き起こす可能性があるため、工事の安全確保の観点から事前調査が義務付けられています。

2026年の制度改正により、一定の対象となる工作物については、石綿事前調査の資格を有する調査者が実施することが求められるようになりました。ここで重要なのは、「調査を実施したかどうか」ではなく、適切な資格を持つ調査者が調査を行っているかどうかという点です。発注者や元請企業が調査体制を確認するケースも増えており、石綿事前調査は企業の安全管理体制やコンプライアンスを示す重要なプロセスとして位置付けられています。

建築物と工作物の違い

石綿事前調査の制度を理解するうえで、実務上よく問題になるのが「建築物」と「工作物」の区分です。実務では、この区分の判断を誤ることで、必要な資格者による調査が実施されていないケースが問題となることもあります。一般的に、住宅や事務所、店舗など人が居住・利用することを目的とした構造物は建築物として扱われます。一方で、煙突や配管設備、ボイラー設備、反応槽など、設備や装置として機能する構造物は工作物に該当する場合があります。特に工場設備やプラント設備では、建築物に付属する設備なのか、それとも独立した工作物として扱うべきか判断に迷うケースも少なくありません。こうした区分は、石綿事前調査の実施方法や必要となる資格にも関係するため、制度対応を進めるうえで重要なポイントとなります。

事前調査に資格が必要な工作物は以下の通りです。

厚生労働省パンフレットより引用

なお、実際の区分は構造や用途、設置状況などによって判断されるため、個別の設備について判断が難しい場合には専門家による確認が必要となります。

石綿事前調査の対象となる工作物

工作物にはさまざまな種類がありますが、石綿事前調査の対象となるものとしては、煙突、配管設備、反応槽、ボイラー設備、発電設備などが代表的です。これらの設備では、過去に断熱材や保温材、パッキンなどに石綿が使用されていた事例も多く確認されています。特に化学プラントや製造設備では、建築物とは異なる材料や構造が使用されていることも多く、設備構造を理解したうえで調査を行うことが重要になります。また、設備の内部など、外観からは石綿の有無を判断できないケースも少なくありません。こうした設備については、設置年代や使用材料を踏まえた専門的な確認と、必要に応じたサンプリングや分析を行うことで、初めて安全な工事計画を立てることが可能になります。

有資格者による調査体制の整備

制度改正により、一定の対象工作物の石綿事前調査は、工作物石綿事前調査者などの資格を有する調査者が実施することが求められています。そのため企業では、自社で資格者を育成するか、専門機関へ調査を委託するかといった体制整備が必要となる場合があります。特に設備改修やプラント工事を多く扱う企業では、石綿調査体制の整備がリスク管理の観点からも重要なテーマとなっています。

石綿事前調査結果の電子報告

石綿事前調査の結果については、一定規模以上の工事において石綿事前調査結果報告システムによる電子報告が必要となります。この報告にはgBizIDの取得が必要となるため、調査から報告までを円滑に進めるための体制整備も重要になります。

なお、電子報告の対象は一定規模以上の工事ですが、石綿事前調査そのものは工事規模に関わらず実施が必要とされています。

まとめ

2026年の制度改正により、石綿事前調査の対象は建築物だけでなく工作物にも拡大されました。特に工場設備やプラント設備では、建築物とは異なる材料や構造が使用されていることも多く、適切な調査には専門的な知識が求められる場合があります。企業としては、制度内容を正しく理解し、対象となる設備や構造物を適切に把握したうえで石綿事前調査体制を整備することが、安全な工事の実施とコンプライアンス確保につながります。

東海テクノでは、石綿事前調査および分析業務を通じて、企業の法令対応と安全管理を技術面からサポートしています。工作物の石綿事前調査についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

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