アスベスト分析(石綿分析)・調査について

そもそもアスベスト(石綿)とは・・・

アスベストは数々の優れた性質を持っており、戦後の高度経済成長期には建材製品等幅広い用途に使用されてきました。しかし、1970年代頃から、アスベストが人体の呼吸器系に入り込むことで石綿肺、肺がん、中皮腫等を発症する可能性があることがわかりました。またアスベストによる健康被害は、アスベストを吸ってから長い年月を経て発症します。そのため、現在は人体への有害性が問題視され、使用禁止になっています。

アスベストは、石綿(いしわた、せきめん)とも呼ばれており、自然界に存在するケイ酸塩鉱物のうち繊維状を呈している物質の一部の総称で6種類存在します。この6種類が存在しているかどうかをチェックするのがアスベスト分析です。

アスベストの種類は6種類

石綿
Asbesutos
蛇紋石族 クリソタイル
角閃石族 アモサイト・クロシドライト・アンソフィライト・トレモライト・アクチノライト

なぜアスベスト分析や調査が必要なのか?

人の健康や生活環境を守るためにアスベストの事前調査や分析が必要です。

そのため法改正が続いており、現在の法令では、建築物の解体(工事),改造,補修工事(解体等工事)を行う時は,元請業者又は自主施工者が石綿(アスベスト)の使用状況を調査すること(事前調査)が義務付けられています。義務化により元請業者や解体工事業者の負担が増えますが、これを怠った場合には罰則の適用になりますので注意が必要です。

 

石綿(アスベスト)に関する法令が改正されています!

『大気汚染防止法』改正 (環境省)
令和3年4月1日~順次施行
労働安全衛生法に基づく石綿障害
予防規則』改正(厚生労働省)
令和2年10月~順次施行
建物解体・改修工事時において、従来の規制に加え、レベル3建材(アスベストを含有する成形板など)も対象とし、建材の種類、除去工法及び工事の規模にかかわらず、原則全ての工事が規制の対象になり、石綿有無の事前調査が義務付けされます。
その他作業計画の策定や、記録の保存、除去時の漏洩管理なども強化の対象となりました。
〈事前調査の充実と強化〉
〈事前調査結果等の届出の新設〉
が改正のポイント。
アスベストの有無にかかわらず一定の要件を満たす工事が届出の対象へ。
1. 解体工事部分の床面積の合計が80m2以上の建築物の解体工事
2. 請負金額が100万円以上である建築物の改修工事

アスベストに関する法改正等の詳細は各省庁のホームページをご参照ください

アスベスト分析・調査の流れ

アスベスト分析・調査の流れ

【書面調査・図面調査】

建築物等を解体、改修する作業を伴う建設工事においては、アスベスト含有建材が使用されているかどうか事前調査を行う必要があります。事前調査ではまず建築図面などの書面や聞き取りからアスベストの使用の有無に関する情報を出来る限り読み取る「書面調査」を実施します。

【現地調査(目視確認)】

アスベストの使用状況を網羅的に把握するため、事前調査では現地の使用状況を目視にて確認することが必要とされています。現地での目視調査を踏まえ、建材のアスベスト含有の有無を判断します。

【試料採取】

分析を行うこととなった建材について、試料採取を行います。試料採取にあたっては保護具を着用し、対象試料を湿潤化してから試料採取を行う必要があります。

【分析調査】

アスベスト分析の流れとしては、建材中にアスベストが0.1%(重量比)を超えて含有しているか否かを確認するための分析を行います。含有が認められた場合、必要に応じて含有率(%)を確認するための分析を行います。

【報告書提出】

お請け致しました調査内容に応じて報告書を作成し、提出させて頂きます。お急ぎの場合は分析結果が判明次第、速報をお送りさせて頂くことも可能です。

事前調査・分析から安全な解体除去・アスベスト廃棄物処理まで一貫してお任せください。

・解体改修工事における事前調査や建築物のアスベストの使用状況の把握、サンプリングから測定まですべて自社で対応が可能です。これまで駅や空港など、大規模な公共交通機関においてもご依頼頂いています。

・弊社では分析機器として偏光顕微鏡を7台、X線回折装置を2台保有しており、増加傾向にあるアスベスト分析のご依頼にも迅速に対応できる体制を整えています。

・解体中のアスベスト粉じん濃度測定や集じん・排気装置の漏洩状況モニタリングも可能

・珪藻土製品のアスベスト分析もおまかせください。

・偏光顕微鏡法は英文での報告書にも対応

・電子による証明書発行サービス(e-計量)にも対応

・資格保有者が多数在籍しており、特急な対応も可能。

 建築物石綿含有建材調査者 15名

 石綿分析技術評価事業(旧称:石綿分析に係るクロスチェック事業)Aランク認定:5名

 アスベスト分析法委員会認定JEMCAインストラクター 1名

 参照:アスベスト分析法委員会認定JEMCAインストラクター

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こんなご相談にも対応できます。

東海テクノのアスベスト分析の強み

最新の法規制にも即時対応(JIS A 1481-5も対応可)

2021年8月にJIS A 1481-5として「建材製品中のアスベスト含有率測定方法-第5部:X線回折法によるアスベストの定量分析方法(第1部の定性分析方法を用いる場合の方法)」が制定されました。

JISの中で1481-1法にて分析した試料をX線回折法で定量する場合、今後の定量は  1481-5法を使用する流れになっています。 この改正に伴い、今年の日本作業環境測定協会実施の技能試験にも新たに追加され、 当社では3名がAランクを取得しています。

継続的な技能レベルの確認

日本環境測定分析協会が主催するアスベスト分析技能試験に定期的に参加し、継続的な技能レベルの確認と精度管理を行っています。

参照:試験結果・参加事業所

石綿分析技術評価事業(旧称:石綿分析に係るクロスチェック事業)

 

アスベスト分析法の種類

  JIS A 1481-1(定性・推定定量)
JIS A 1481-4(定量)

JIS A 1481-2(定性)

JIS A 1481-3(定量)
JIS A 1481-5(定量)
対象建材 全ての建材 天然鉱物も対応可 建材全般 ただし天然鉱物及びそれを原料としてできた製品(バーミキュライトを主原料とした吹付け材は除く)は対応不可 建材全般 ただし天然鉱物及びそれを原料としてできた製品は対応不可(天然鉱物の場合は基安化発0828001号にて実施)
試験装置 実体顕微鏡
偏光顕微鏡
X線回折装置
位相差分散顕微鏡
X線回折装置
試料採取数 原則1試料
(吹付け材の場合は3箇所から採取)
3箇所から採取して、混合1試料
JIS A 1481-5については、JIS A 1481-1に準拠
分析費用 JIS A 1481-1(¥22,000~)
JIS A 1481-4(要相談)
JIS A 1481-2(¥33,000~)
JIS A 1481-3、JIS A 1481-5 (¥22,000~)
試料採取量 ボード類:1cm3(サイコロ大)
吹付材、保温材:10cm3(ゴルフボール大)
ボード類:100cm2(名刺2枚分)×3
吹付材、保温材:10cm3(ゴルフボール大)×3
特徴

・分析納期が早い・安価(JIS A 1481-1)

・複数素材の組合せの建材は素材毎の層別分析が可能(JIS A 1481-1)

・オンサイト分析も可能(JIS A 1481-1)

・トレモライトとアクチノライトの分別が可能

・海外で問題となったリヒテライト及びウィンチャイトの判別が可能

・JIS A 1481-1はISO 22262-1に相当

・JIS A 1481-4はISO 22262-2 

 に相当

・今までの国内での中心的分析法

・技術者による技能差が生じにくい分析

・旧JIS(2008)の定性分析方法に相当。

・アスベスト濃度の定量が可能

・JIS A 1481-3は旧JIS(2008)の定量分析方法に相当

・JIS A 1481-5は及びISO 22262-3に相当

各分析方法の違いについて

JIS A 1481-1とは

・欧米ではアスベスト分析の中心的分析方法である偏光顕微鏡を用いた試験方法

・熟練した技術者が実施した場合は精度良く短期間で建材中のアスベスト有無の判断が可能

・ISO22262-1に相当

JIS A 1481-2とは

・X線回折法と位相差分散顕微鏡法を用いたアスベストの定性分析方法

・天然鉱物及びそれを原料としてできた製品(バーミキュライトを主原料とした吹付け材は除く)には、適用できない

・旧JIS(2008)の定性分析方法に相当

JIS A 1481-3とは

・X線回折装置を用いた基底標準吸収補正法によるアスベストの定量分析方法

・天然鉱物及びそれを原料としてできた製品に適用できない

・旧JIS(2008)の定量分析方法に相当

JIS A 1481-4とは

・偏光顕微鏡を用いたアスベストの定量分析方法

・ISO 22262-2に相当

JIS A 1481-5とは

・X線回折装置を用いた基底標準吸収補正法によるアスベストの定量分析方法

・天然鉱物及びそれを原料としてできた製品に適用できない

・ISO 22262-3の定量分析方法に相当

※アスベスト分析マニュアル(厚生労働省)とは

本マニュアルは、その事前調査においてアスベストの有無を適切に分析するために、分析調査者に詳しい情報とノウハウを伝えることを目的に策定したものであり、JISA1481規格群を基にして、石綿障害予防規則第3条の事前調査の目的に合致するように、新たな知見等に基づいて追加、修正したもの(アスベスト分析マニュアル【第2版】より抜粋)

 

よくいただくご質問

JIS A 1481-1 と JIS A 1481-2 の違いを教えてください。

JIS A 1481-1は国際規格ISO 22262-1を基にした分析方法で、2014年に制定されました。実体顕微鏡と偏光顕微鏡及び電子顕微鏡による定性を行い、熟練した技術者が実施した場合は精度良く短期間で建材中のアスベスト有無の判断が可能です。
JIS A 1481-2は旧JIS A1481(2008)の定性分析方法に相当し、X線回折及び位相差・分散顕微鏡による定性分析を行います。日本独自の分析方法で分析者の力量には依存しにくいですが、層別分析や天然鉱物中のアスベスト定性分析には適しません。
弊社では特にご指定のない限り、JIS A 1481-1を採用しています。

どれくらいの期間でできますか?

基本は試料到着から5営業日程度いただいております。(JIS A1481-1)
お急ぎの場合は特急対応費用をいただきますが、翌日速報等ご相談に対応いたします。

どれくらいの費用がかかりますか?

建材で一番ご依頼をいただく方法はJIS A 1481-1(定性・推定定量)となります。
定性・推定定量の分析は、1検体¥22,000~となります。
試料の種類によって、灰化等前処理が必要になる場合は事前、ご連絡いたします。

どのように依頼すればよいですか?

当社指定の依頼書にご記入いただき、試料をお送りいただきます。
詳細は営業よりご案内いたします。ぜひお問い合わせください。

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アスベスト分析を担当している藤原です。アスベストは我々の身近に存在し、その健康影響が社会問題になっています。その中で私は主に建築物のアスベスト調査・分析を行っています。アスベストの分析には顕微鏡を使用した専門的且つ高度な評価技術が必要で、常に技術を磨きながら正確で迅速な報告に努めています。当社は石綿分析に係る各種技能試験での資格者を何名も擁しておりますが、私はアスベスト分析のリーダーとして全国的に1000人も満たない(三重県では数人)の建築物石綿含有建材調査者であり、(一社)日本環境測定分析協会のアスベスト実技講習のインストラクターにも認定されていますので、アスベストの調査から分析まで安心してお任せ下さい。
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