橋梁塗膜中の有害物質調査(採取・分析)

橋梁等の鋼構造物に塗布されている塗膜(塗料)には昭和42~47年頃までの構造物について、一部PCBが含まれていることが確認されています。また、鉛やクロムなどの有害物を含むことがあり、その剥離作業を行う上で、労働者の健康障害防止の観点から、厚生労働省通知として「鉛等有害物を含有する塗料の剥離やかき落とし作業における労働者の健康障害防止について」(平成26年5月30日)が発せられました。
当社では現地採取から分析まで一貫して行っており、橋梁補修設計業務に関する事前調査のご相談も多くいただいております。
外壁塗装中の石綿(アスベスト)の分析・除去対応も可能です。
調査の計画等でお困りの際は、ぜひご相談ください。

橋梁等塗膜のPCB含有問題とは?

橋梁等の鋼構造物に塗布されている塗膜には、昭和42~47年頃まで塩化ゴム系塗料の一部に塗膜の柔軟性や安定性を維持するための可塑剤としてPCBを使用していたことが確認されています。昭和43年に発覚したPCBによる健康被害のカネミ油症事件を契機に、昭和49年には製造および使用が禁止されましたが、近年では塗料の原料として用いる有機顔料中に副生(非意図的)するPCBの存在も明らかになっています。

労働者の健康障害防止のためにPCB等含有の確認を!

調査対象有害物質である鉛、六価クロム、PCBは「労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)」の中で危険物または有害物として指定されており、これらを含む物質の取り扱いや作業にあたっては同法によりその管理方法などが規定されています。
橋梁等の鋼構造物に塗布された塗料には鉛やクロムなどの有害物を含むものがあり、その剥離作業を行う上で、労働者の健康障害防止の観点から、厚生労働省通知として 「鉛等有害物を含有する塗料の剥離やかき落とし作業における労働者の健康障害防止について」(平成26年5月30日)が発せられました。
さらにこれらを含む廃棄物の処分にあたっては廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号、以下廃棄物処理法とする)の中で処分基準が定められています。

東海テクノの橋梁塗膜分析の強み

様々な調査に携わってきた経験を活かし、お客様のご要望にお応えできるよう、ご相談に応じます。飛散防止はもちろんのこと、環境への配慮を行いつつ実施いたします。

「鉛・クロム・PCB」全ての対応が可能

東海テクノでは現場での試料採取から分析値の報告まで一貫した対応が可能です。分析項目としては、基準が設定された有害物「鉛・クロム・PCB」の含有量試験及び溶出試験全ての対応が可能です。

ご指定の工期にあわせて測定結果をお届け

採取が必要な場合、採取日程をお打ち合わせによって決定致します。指定の工期、日程がある場合は、早めのご連絡を頂けますとご希望にお応えしやすくなります。分析には通常2~3週間の納期が必要となります。

有資格者が対応を行い、測定品質を担保

当社では、「鉛作業主任者」および「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者」の資格を持つ有資格者が現場作業の実施と管理を行っています。そのため、高い専門性と確かな技術により、安全かつ確実な作業をお約束し、お客様に安心してご依頼いただけるよう、高品質なサービスを担保いたします。

橋梁塗膜分析方法

塗膜分析には「含有量試験」と「溶出量試験」が設けられています。含有量試験は、塗装の塗り替え作業時に、作業者の健康リスクを管理するために実施されます。一方、溶出量試験は、塗膜を廃棄する際に、その廃棄物が特別管理産業廃棄物に該当するかどうかを確認する目的で行われます。ただし、PCBに関しては、PCB特別措置法の関係で、処分時には溶出量だけでなく、含有量のデータも必要となる例外があります。

塗膜含有量試験

橋梁塗膜の分析方法は関係法令によって項目毎に定められています。含有量試験の分析方法は次の通りです。

項目 分析方法
PCB 低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法
JIS K 5674 附属書A 塗膜中の鉛の定量
クロム JIS K 5674 附属書B 塗膜中のクロムの定量

塗膜溶出量試験

溶出量試験の分析は原則、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に定められた方法により行われます。項目別の分析方法は下記の通りです。

項目 分析方法
PCB 昭和46年12月環境庁告示第59号付表4 ガスクロマトグラフ(ECD)法
JIS K 0102 54.4 ICP質量分析法
クロム JIS K 0102 65.2.1 ジフェニルカルバジド吸光光度法

※前処理:産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法(昭和48年 環境庁告示第13号)

橋梁塗膜分析の流れ

計画・打ち合わせ

お問い合わせを頂きましたら、必要に応じて打合せを実施。採取現場の状況を確認の上、採取日程を決定します。

現地採取

専用の機材を用いて、試料を採取します。試料採取にあたっては保護具を着用して個人ばく露をしないこと、また周囲に有害物質を飛散させないことに十分注意して作業を行います。

試料分析

採取試料をラボに持ち帰り、定められた方法で分析を行います。お客様で試料採取を行って頂いた場合は、郵送頂いた試料を分析させて頂く事も可能です。

結果報告

お請け致しました調査内容に応じて報告書を作成し、提出させて頂きます。お急ぎの場合は分析結果が判明次第、速報をお送りさせて頂くことも可能です。

有害物質の基準

有害物 労働安全衛生法
適用基準
労働安全衛生法
名称等表示義務基準
特别管理産業廃棄物 判定基準
含有量試験 含有量試験 産業廃棄物溶出試験※2
(環境庁告示第13号)
ポリ塩化ビフェニル廃棄物の
適正な処理の推進に関する
特別措置法
検出されたもの
→「鉛則」※1が適用
0.1%以上 0.3mg/L
クロム 1%を超えて含有
→「特化則」が適用
0.1%以上 1.5mg/L
(六価クロムとして)
PCB 1%を超えて含有
→「特化則」が適用
0.1%以上 0.003mg/L 付着又は封入していないこと(0.5mg/kg)
※1
表中の鉛則:「鉛中毒予防作業規則」、特化則:「特定化学物質障害予防規則」
※2
塗膜かすは、剥離方法により廃棄物の種類(廃プラ又は汚泥)が変わりますので、項目の要否判断が必要です。
注)
基準・試験方法については自治体・工事内容により異なることがありますので、あらかじめ確認が必要です。

橋梁塗膜調査を担当している前川です。橋梁や鉄塔などの塗装には従来、防錆目的として有害物質であるPCB、鉛、クロムを含む塗料が使用されてきました。その有害物質を含有しているか否かの調査であるため、採取時に有害物質を飛散させないこと、個人ばく露をしないことに十分注意して塗膜採取をします。高所作業車が必要で通行止めや交通規制が必要な場合や採取時間の制約があるため、確実な事前調査と準備の上、迅速かつ安全な塗膜採取を心がけています。経験と洞察力が要。消防隊員の様な日々の訓練と使命感を胸にミッションを遂行しています。