コラム

浸水被害への事前の備えと、浸水被害にあった場合に行うべき対策

更新日:2024.2.6

水害による浸水被害は、地球温暖化や都市化の進展により、ますます深刻化しています。これらの災害から家屋や設備を守るためには、事前に被害を予測して備えておくことが必要不可欠であり、また、浸水後の対策についても備える必要があります。今回は事前に予測して行っておくべき備えと、浸水してしまった後の対策について、それぞれ考えていきましょう。

1.事前の備え

まず、事前の備えとしては、以下のようなことが挙げられます。

1-1  浸水ハザードマップを確認する

浸水ハザードマップは、自分の住んでいる地域がどの程度の浸水可能性があるかを示す地図です。これを見ることで、自分の家や職場がどれくらい危険な場所にあるかを把握できる上、どこに避難すれば安全かも分かります。浸水ハザードマップは、市町村や河川管理者などが作成しており、インターネットや防災センターなどで閲覧できますので、事前に確認して被害の予測を立てておくと良いでしょう。

1-2  家屋や設備の耐水性を高める

家屋や設備の耐水性を高めるというのは、浸水した場合に被害を最小限に抑えるための工夫です。例えば、床下や壁内にある電気配線やガス管などを高い位置に移動させたり、窓やドアを防水使用にすることも有効でしょう。家屋の改造となると簡単に実施することは出来ないかもしれませんが、家具や家電などを高い位置に移動させるだけでも対策になります。

1-3  防災グッズや非常食などを用意する

防災グッズや非常食などは、万が一避難する必要があった場合に役立つものです。防災グッズとしては、懐中電灯やラジオ、携帯電話用の充電器や予備バッテリー、救急セットや毛布などがあります。非常食としては、保存期間が長くて栄養価の高いものが望ましく、例えば缶詰やレトルト食品、乾パンやビスケットなどがあります。これらのものは、常に手元に置いておくか、避難バッグなどに入れておくと良いでしょう。市販の避難セットも多数市販されていますので、市販品を利用するのも良い手段です。

1-4  避難経路や避難所を確認する

避難経路や避難所は、自分の家から最も近くて安全な場所を事前に確認しておきましょう。避難経路は、ハザードマップを参考に複数のルートを用意しておくとより安心です。避難所は、市町村が指定している公共施設や学校などもありますが、それ以外にも高台や堤防などの安全な場所を探しておくと良いでしょう。避難所には必ずしも十分な物資や設備があるとは限らないので、自分で必要なものを持っていくことが大切です。

1-5  災害時に連絡できる方法を確保する

災害時に連絡できる方法は、家族や友人との安否確認や救助要請になくてはならないものですが、携帯電話やインターネットなどの通信手段は、災害によっては使えなくなる可能性があります。予め緊急用の連絡先や連絡方法を決めておくことが重要で、例えば災害用伝言板や緊急速報メールなどを利用することが有効です。定期的に家族で確認しておきましょう。

以上が事前に行っておくべき備えの一例で、これらの備えは自分の住んでいる地域や家屋の状況に応じて適宜行う必要があります。また、これらの備えだけでは十分でない場合がありますので、定期的に見直しや点検を行うことも重要です。

2.浸水被害にあった後の対策

浸水被害にあった場合には、以下のような対策を行うことが重要です。

2-1 安全確認

浸水した家屋や設備に近づく前に、安全を確認する必要があります。電気やガスの漏れ、倒壊や崩落の危険性、感電や火災の恐れなどをチェックしましょう。浸水した水は汚染されている可能性が高いので、出来る限り直接触れないように注意し、可能であれば防護服やマスク、手袋などを着用しましょう。

2-2  撤退・避難

安全確認ができたら、浸水した場所から速やかに撤退・避難することが必要です。浸水した場所に長く留まると、体温低下や感染症などの健康被害を招く恐れがあります。また、浸水した場所から離れる際には、貴重品や必需品を忘れずに持ち出しましょう。重いものや大きなものは持ち出さず、避難行動を妨げない程度にする必要があります。

2-3 被害届・保険申請

浸水被害にあった場合には、速やかに被害届を提出することが必要です。被害届は市町村役場や消防署などで受け付けていますので、早めに相談して下さい。被害届を提出することで、災害救助法や災害対策基本法などの法律に基づく支援を受けられます。火災保険や地震保険などの保険に加入している場合には、保険会社にも連絡して保険申請を行いましょう。保険申請を行う際には、浸水した様子や被害状況を写真や動画で記録しておくことが有効です。

2-4 復旧・復興

浸水被害から復旧・復興するためには、以下のような作業を行うことが必要です。

水抜き・乾燥

浸水被害後、まずは浸水した家屋や設備から水を抜き、乾燥させることが必要です。水が残っているとカビや腐食などの二次被害を引き起こす恐れが高くなりますので、安全を確保できたらできるだけ早めに取り掛かりましょう。

また、水抜き・乾燥後も浸水箇所では雑菌が繁殖して悪臭問題が発生したり、カビの発生が問題になります。それを予防するために効果的な薬剤の散布を忘れてはいけません。

汚泥・ゴミの除去

家屋や設備が浸水すると発生する汚泥やゴミを除去する必要があります。汚泥やゴミは、衛生面や見た目の問題だけでなく、乾燥の妨げにもなります。被害が大きい場合は汚泥やゴミの量も多くなりますので、自分で処理出来ない場合は専門業者やボランティアの助けを借りましょう。

修理・交換

浸水した家屋や設備は修理や交換が必要となります。特に電気やガスの設備、家電製品が浸水被害にあった場合は、必ず専門家に点検してもらってください。例えば電気コンセントやガスコンロ、冷蔵庫やテレビなどは火災や感電の危険がありますので、十分に注意しましょう。家具や衣類などが浸水被害にあった場合、乾燥して使用できる状態になっても時間が経つと雑菌が繁殖する場合もありますので、使用前に消毒しておきましょう。

防止・対策

浸水被害から復旧・復興した後には、再び同じような被害に遭わないように防止・対策を行うことが必要です。可能な範囲で浸水しやすい場所にある家屋や設備を移動させたり、高台に建て替えたりすることが有効です。また、浸水時に持ち出せるように貴重品や必需品をまとめておいたり、防災グッズや非常食などを備えておくと安心でしょう。

3.まとめ

水害による浸水被害を最小限に抑えるためには、事前の備えと被害の想定が不可欠です。地域の水害の傾向や過去の被害状況を調査し、自宅や住居の浸水リスクを評価地域の水害リスクを理解して適切な対策を講じておきましょう。緊急時には迅速な行動が求められます。天候予報や自治体からの情報を確認し、危険を感じたら適切なタイミングで避難することが重要です。

水害による浸水の対策を常に意識し、安全な暮らしの維持を心掛けましょう。

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