リケジョ File.3(四日市分析センター ラボGr 頼れるSさん)

自慢のリジョケ(理系女子)

何でも嫌がらず受けてみる

~挑戦での経験が次のチャンスを生む~

子供の頃、星をみるのが好きでよく科学館に足を運んでいたというSさん。体験型の展示や、そこで時々開催されていた理科実験のイベントが楽しくて、なんとなく白衣を着た仕事に興味を持ったのがきっかけで理系の道へ。
生物や化学が好きで、大学ではそのまま生物化学の研究室に所属し、遺伝子工学を学びました。実家のある三重県内での検査・研究職を希望したことから、当社に入社。新たな分析サービスの運用や当社が進める新規プロジェクトには欠かせない存在で、どんな仕事を依頼しても嫌な顔をせずに引き受けてくれる、包容力があり、周りからの信頼も厚いSさんです。

掲載日 2018年4月27日

自慢のリケジョ回答者

四日市分析センター ラボGr

頼れるSさん

挫折も楽しめる余裕が必要
今行っている業務や研究について教えてください
Sさん : 現在は、何が多いかと言えば吸光光度法や重量法、滴定などの手分析と、サンプルの受入れから保管までの試料管理業務ということになりますが、要は何でも担当します。経験も長く、スケジューラシステムが割り振る業務プロセスの対応技能者にたくさん登録していただいているようなので(笑)

研究では、今は別のプロジェクトチームが行っているバチルス菌などを用いた有機栽培法研究で穫れる「生姜」の用途開発に向けた取り組みに参加しています。これは理化学研究というよりも料理に近いので、とても楽しんでやっていますが、生産とかマーケットとか今までの技術畑とは違う視点もたくさん出てくるので進んでは戻りの連続です。理化学分野では、以前お茶のアミノ酸を簡単に測定できる簡易分析計の開発を目標に、山梨大学との共同研究に取り組んでいました。
簡易分析計の開発とは、どういったことをしていたのですか?
Sさん : 装置の原理としてはLEDを光源として、サンプルに誘導体化試薬を反応させて蛍光強度を測定するというものです。四日市は“かぶせ茶”の産地なのですが、茶葉を遮光シートで覆ってアミノ酸を増やします。その収穫タイミングを経験から数値管理に置き換えていくことが目標でした。

数値化は、お茶に含まれるテアニンというアミノ酸を定量することなんですが、この簡易蛍光法はLC(液体クロマトグラフ)のように分離する技術ではないので、一級アミノ酸全てが反応してしまいます。一級アミノ酸量からテアニン量を予測するために、LC分析で一級アミノ酸(グルタミン酸など9種)とテアニンを測定しデータをとった結果、市販の緑茶飲料は添加物の影響かテアニンの割合が30%~80%程度と様々で、茶葉で煮出したお茶は文献どおり50%程度であることがわかりました。

簡易分析計では、そのデータとの整合性を取るためにテアニン以外にもグルタミン酸やアスパラギン酸を用いて検量線を作成し、アミノ酸の違いによる強度の違いを探っていました。装置はプロトタイプまで製作したものの、結局茶葉そのものでは簡易計器にかける前処理が簡略化できず現場では使えないという評価となって、現在プロジェクトは残念ですが中断しています。年に10件以上のプロジェクトが生まれては消え、良くて年に1件が収益を生むものになっていく確率ですから、こうしたことの積み重ねだと思って前向きに考えています。
予想が当たると何より嬉しい
仕事をしていて楽しいことと辛いことは何ですか?
Sさん : 何にしても予想通りになることが楽しいと感じます。
装置の不具合も原因が思った通りの箇所で修復できたとか、予定していた業務が予定通り終わったとか、サンプルの状態や匂いから検出される物質や濃度を当てたりすると楽しいです。何も知らずに測定した結果を報告して、営業の人から依頼者の想定通りの数値だったよと聞くとうれしくなります。
仕事をしていて辛いことは業務的にはあまりないのですが、自分のミスが会社全体の責任になることでしょうか。普段からミスの出ない環境づくりには積極的に取り組んでいかないと、と反省します。
最後に、日ごろ心がけていることがあれば教えてください
Sさん : 担当業務の性質上、社内のたくさんの人に質問したり、依頼したり、されたりするのですが、すぐに対応できない頼まれ事は期限を定めてメモを取るようにしています。できる限りその場で解決していきたいのですが、後回しになることも多くて、記憶から飛んで失敗することも度々です。できれば余裕をもって対応したいものです。
自慢のリケジョ

Rikejyo