セルロース標準物質

セルロース標準物質とは

近年、世界各国で持続可能な再生可能資源として「バイオマス」が注目を集めています。特に、バイオリファイナリーやセルロースナノファイバーといった先端技術の発展に伴い、木質系バイオマス資源の利用が加速しています。それに伴い、木質バイオマスの正確な組成分析へのニーズが急速に高まっています。

しかし、木質バイオマスの分析においては、木材を構成するセルロース、ヘミセルロース、リグニンなどの成分量を厳密に把握する必要があります。一方で、これまで分析精度の妥当性を確認するための標準物質が存在しないという課題がありました。標準物質がないことは、分析結果の信頼性を担保する上で大きな障壁となっていました。

こうした背景を踏まえ、東海テクノでは、組成分析値が付与された「標準木粉」の必要性を強く認識。これからの木質バイオマス分析には、標準物質の存在が不可欠であると考え、杉を原料とする木粉の調製を進めました。

その結果、木質組成分析用の実用参照物質≒セルロース標準物質(以下「実用参照物質」)の独自開発に成功しました。この実用参照物質は、木質バイオマス資源の正確な評価を可能にし、持続可能な社会の実現に向けた技術革新を支える重要な役割を果たします。

東海テクノは、これからもバイオマス資源の有効活用と分析技術の発展に貢献してまいります。

セルロース標準物質の使用例

本実用参照物質は、粉末状の杉(スギ)木粉を用いた標準物質であり、以下の6成分の含有率が値付けされています。

  • 有機溶媒可溶分
  • ホロセルロース
  • α–セルロース
  • 酸不溶性リグニン
  • 灰分
  • 酸可溶性リグニン

この実用参照物質を使用することで、分析者は自身の技能を常に客観的に評価し、分析工程全体の信頼性を確保・検証することが可能になります。特に、前処理を含めた一連の工程管理において、測定精度の維持・向上を図る重要なツールとなります。

主な活用事例は下記の通りです。

分析値の評価

分析者がセルロース標準物質を用いて試験を行うことで、自らの測定結果が妥当であるかを確認でき、日常の業務における精度管理が容易になります。

試験方法の妥当性確認(バリデーション)

新たに導入する試験方法や機器の検証を行う際、この標準物質を用いることで、試験手順や測定装置の妥当性を確認することができます。これにより、測定の標準化と一貫性が担保されます。

木質成分の分析に携わる技術者・研究者の皆様にとって、日々の業務や研究活動での分析精度の維持と向上に大いに役立つことが期待されます。

木質バイオマスの分析は、納期や費用がかかることが一般的です。特に、バイオマスの研究開発を進める段階では、初回に値付けされた木粉(標準物質)が必要となる場面が多くあります。

その際、東海テクノが開発したセルロース標準物質を使用することで、研究開発費の削減が可能になります。標準物質が手元にあることで、試験の初期段階で必要な分析を迅速に進められ、外部への依頼回数を減らすことができるため、時間とコストの両面で効率化が図れます。

さらに、この標準物質を用いることで、試験の繰り返しや方法検証を自社内で簡便に行えるため、分析工程全体の費用対効果が向上します。

バイオマスの研究開発を加速させつつ、コストパフォーマンスを最大化するツールとして、ぜひ分析値の信頼性向上や試験手法の検証などに本実用参照物質をご活用ください。

価格表

品名 容量 RM.No. 入数 価格(税抜)
スギ粉末
(Cedar Powder)
 50g

TT-RM-01-a

※実用参照物質付与値報告書

   ※開発報告書

1本 ¥60,000-
ご相談。お見積もりのご依頼はこちら