PFAS規制の対象物質は?主な物質を一覧で紹介
PFASの対象物質はなんだろう?PFASは何に含まれているのだろうなどお悩みではないでしょうか?その疑問にPFASの対象物質から規制の状況まで紹介するこのコンテンツがお答えします。
さっそくPFASの対象物質から確認していきましょう。
PFASの対象物質
PFASとは、ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物を指す総称です。
国や地域によっては、PFASの対象物質として数千種類以上がリストアップされており、具体的には、EUではPFASが4,700種類以上、米国環境保護庁(EPA)の「PFAS Master List of PFAS Substances」には12,034の物質がPFASに該当するとして登録されています。
PFASの中でも、規制動向が顕著な主な物質は下記の通りです。
カテゴリー | 主な物質 | 特徴 |
---|---|---|
PFCA | PFOA | 撥水・撥油性があり、テフロン製造などに使用されていた。非分解性と生体蓄積性がある。 |
PFHxA | 比較的短鎖のPFASで、一部の工業用途に使用される。生体蓄積の可能性が低いとされる。 | |
PFSA | PFOS | 撥水・撥油性、化学的安定性が高い。環境への影響が懸念され、多くの国で規制されている。 |
PFHxS | PFOSに似た化学構造を持ち、撥水・撥油性がある。環境および健康への影響が懸念されている。 | |
PFECA | GenX | PFOAの代替物質として開発されたが、環境や健康への潜在的なリスクが懸念されている。 |
これらの物質は、各国や地域での規制の動向を注視する中で、環境や人体への影響を最小限に抑えるための代替物質の開発や使用方法の見直しが求められています。
PFASは何に含まれる?
ここまででどういった成分が対象になっているかをご紹介しました。このPFASは私たちが日常的に触れるさまざまな製品や生活用品にも含まれています。その理由はPFASの持つ撥水・撥油特性や高温に対する耐性などが、使用目的や製品の特性によって利用されているからです。
下記の表は私たちの身近にある製品の中でPFASが含まれる可能性があるものです。
製品 | 用途 | 詳細 |
---|---|---|
フライパンや鍋 | 焦げつき防止 | 食材が鍋やフライパンにくっつくことを防いでいます |
食品容器包装 | 油濡れ防止 | 例として、ハンバーガーなどの包装自体が油で濡れるのを防いでいます。 |
化粧品 | 持続性・発色性向上 | 化粧品が皮膚によくなじむようになります |
防水スプレー | 撥水性向上 | 撥水性を持たせることで、雨などの水分から製品を守ります |
スマートフォンの 画面コーティング |
防汚性向上 | 指紋や汚れを防ぐため、スマホの画面には特別なコーティングが施されており、その中にはPFASが使用されています。 |
これらの日用品の他にも、工業分野では泡消火剤や工業的研磨剤としての利用、半導体の製造プロセスなどにPFASが使用されています。これらの多岐にわたる用途が、PFASの環境への影響という大きな課題を生んでいる一因とも言えるでしょう。
PFASの規制
PFASに関する規制は、これまでの使用状況と健康への潜在的リスクや環境への影響を考慮すると、非常に重要だといえます。ここでは世界的なPFAS規制の現状と今後の見通しについて詳しく見ていきます。PFASに関する規制は、次の通り地域や国によって異なります。
国際的な規制【ヨーロッパ連合(EU)】
広範な規制の提案:EUではPFASの全般的な規制に向けた動きがあります。2023年には、PFASに関する新しい規制案に対してパブリックコメントが募集されました。
また新しい規制が2025年中に正式に発行される予定で、18ヶ月の移行期間が設けられます。特定の産業や用途には5年または12年の猶予期間が予定されています。
国際的な規制【アメリカ合衆国】
環境保護庁(EPA)の取り組みとしてEPAはPFASに関して積極的な取り組みを行っており、「PFASアクションプラン」を策定しています。これには、PFASの監視、リスク評価、浄化技術の開発などが含まれます。
州レベルでの規制としては連邦レベルでの広範な規制が進む中、いくつかの州で独自のPFAS規制を導入しています。
日本国内の規制の動き
特定PFASの規制として日本では、特にPFOSとPFOAの製造や輸入が原則禁止されています。これは、国際的な取り組みや市民の健康への懸念に基づいた措置です。また、2023年11月28日、環境省がPFHxSを製造や使用を原則禁止する物質に追加すると発表しました。PFHxSを使った製品は現在国内でつくられていませんが、2024年6月から海外からの輸入も原則禁止になります。
今後の規制の方向性
・代替物質の開発:多くの国や地域では、PFASの安全な代替物質の開発が進められています。これには、環境や健康への影響が少ない化学物質の研究が含まれます。
・法規制の強化:PFASに関する規制は今後も強化される見込みです。特に、環境への長期的な影響や人体への蓄積が懸念されるため、これらの物質の使用を制限する法律が多くの国で導入される可能性が高いです。
・国際協力の推進:PFAS問題は国境を越えた課題であるため、国際的な協力と情報共有が重要です。国際機関や各国政府が協力して、PFASのリスク管理と規制策を推進していくことが期待されます。
まとめ
PFASはその便利な特性から幅広く利用されてきましたが、その健康や環境への影響を真摯に受け止める必要があります。
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