コラム

PFAS の代表的な使用製品は?健康リスク、規制の動向も合わせて紹介

更新日:2023.12.25

近頃、PFASの含まれていた水を飲んでいた住民の血液から発がん性物質が計測されるなどPFASにより健康被害が報告されております。ただPFASは撥水材やコーティング材などにも含まれており、意外にも私たちの生活に密接に関わりのある物質です。

このコンテンツでは、自分や家族の健康を守るためにどういったところに注意すべきか、どのようにPFASが含まれていないかの確認をする方法を共有させていただきます。

さっそく、そもそものPFASとは何なのか振り返っていきましょう。

そもそもPFASとは?

そもそもPFASとは、有機フッ素化合物の一群を指し、カーボンとフッ素の結合を持つ化合物の集合体です。このカーボン-フッ素結合は非常に強く、化学的に非常に安定しており、自然界でほとんど分解することが出来ません。それゆえにフォーエバー・ケミカル(永遠の化学物質)などと言い、現在4700種類以上がPFASに分類されています。

近年の研究によりPFASによる健康リスクが明らかになってきましたが、これまで様々な製品や産業分野での使用が進められてきており、その影響が懸念されています。

では実際にどういった物質にPFASは使用されているのでしょうか?

PFAS使用製品は?

PFASの化学的特性は多岐にわたる製品の開発と製造に利用されてきました。特に耐水性や耐油性、化学的安定性が求められる製品には、この物質が多用されています。以下は、日常生活や業界でよく使われるPFASを含む製品のリストです。

1. 衣類とテキスタイル

防水・撥水加工された衣類:アウトドアウェアやスポーツウェアなど、雨や水から身を守るための衣類にはPFASが使用されることが多いです。

カーペットや家具の撥水・撥油加工:汚れやシミを防ぐためにPFASが用いられます。

2. 調理器具

非粘着フライパンや鍋:PFASの非粘着性が、料理がくっつきにくい表面を提供します。

3. 食品包装

耐油・耐水の包装紙や容器:ファーストフードの容器やポップコーンの袋、ピザのボックスなどにPFASが使われることがあります。

4. 工業製品

塗料やインク:PFASは塗料やインクに耐久性や拡散制御: PFASの界面活性特性により、インクが紙や他の素材に均一に広がることを助けることができます。これにより、印刷の均一性や明瞭さが向上する為に使用されています。工業用クリーナーや潤滑油などは高い耐化学性と潤滑性が必要な為、これらの製品にも使われる事もあります。

5.化粧品等

PFASは撥水性や耐油性を持っているため、化粧品に添加することで、汗や皮脂による化粧崩れを防ぐ効果が期待されます。特に、ウォータープルーフのマスカラやアイライナー、ファンデーションにはこの特性が求められます。

6. その他

消火泡:特定の種類の火災、特に液体燃料火災を鎮火するための泡にPFASが使われることがあります。

航空機や自動車の一部コンポーネント:高温や化学的に過酷な環境に耐えるため、これらの部品にPFASが使われることがあります。

PFASの健康リスク

多種多様な製品に使用されており代替品などの切り替えが急がれる中、消費者としては、PFASが含まれる製品を購入する際には製品のラベルや情報をよく確認し、意識的な選択をすることが求められます。

PFASは多くの製品で利用されている一方、その影響についての研究や議論も進行中です。以下に示すのは懸念されるPFASの健康リスクの一部です。

ホルモン異常 PFASは内分泌撹乱物質としての特性を持つ可能性が示唆されています。これにより、ホルモンバランスが乱れるリスクが考えられます。特に、甲状腺ホルモンの機能に影響を与える可能性が指摘されています。
発がん性リスク 一部のPFASは、動物実験においてがんのリスクを高める可能性が示されています。人間における影響はまだ確定的ではありませんが、注意が必要です。
免疫系の機能低下 PFASの曝露が、ワクチンの効果を低下させる可能性が研究から示唆されています。
胎児への影響 妊娠中のPFASの曝露は、新生児の体重減少や発育遅延のリスクを高める可能性があるとされています。

健康リスクへの懸念は高まる一方のPFASですが、規制の状況はどうなっているのでしょう?次は規制の動向について確認していきます。

PFAS規制の動向

PFASに関する規制は、国や地域によって異なる動きを見せていますが、その健康リスクや環境への影響を受けて、国際的に厳格な規制が進められているのは明らかです。製品の開発や選択を行う際、また日常生活においても、PFASに関する最新の情報や規制の動向を注視することが重要です。

中でもPFOSとPFOAは特に注目され、すでに多くの国々で規制や監視の対象となっています。以下に、主要な国や地域での基準値や健康助言値を示します。

1. ストックホルム条約

ストックホルム条約は、持続性有機汚染物質(POPs)の生産、使用、及び放出の制限や禁止を目的とした国際的な環境条約です。PFASの中でも特に問題視されているPFOAが、この条約において新たに追加され、生産や使用が国際的に制限されるようになりました。

2. EUの取り組み

欧州連合(EU)は、PFASに関する規制を積極的に進めています。REACH(化学物質の登録、評価、認可及び制限に関する規則)の下で、一部のPFASが使用制限の対象となっています。また、飲料水基準においてもPFASの濃度を制限する動きが進められています。

3. アメリカの対応

アメリカ環境保護庁(EPA)は、PFASの監視やリスク評価を進めており、飲料水の健康助言値を設定するなどの取り組みを行っています。一部の州では、飲料水や地下水のPFAS基準値を独自に設定するなど、連邦レベル以上の厳格な規制を進めているところもあります。

4. アジア諸国の取り組み

アジアの多くの国々でもPFASの規制が進められつつあります。例えば、日本では特定のPFASについて、環境放出を制限する法的措置が取られています。中国や韓国でも、PFASに関する使用制限や生産のガイドラインが設定されています。

5.日本のPFOSおよびPFOAの水質基準

環境省は令和2年5月28日、PFOSとPFOAを人の健康の保護に関する要監視項目に位置づけ、公共用水域及び地下水における暫定目標値(暫定指針値)を1リットルあたり50ナノグラム(50ng/L、PFOSとPFOAの合計値)に定めました。

日本国内の河川や井戸からPFASが検出

昨今、国内でもPFASの実態調査が進められており、多くの自治体から高濃度検出の報告がされています。人体への影響は明らかにされていないものの、発がん性があるとも言われており、住民への不安は拡がるばかりです。

東海テクノでは排水や地下水でのPFASの中で規制基準があるPFOS及びPFOAをはじめ、幅広い分析の対応が可能です。まずは身近なところから実態調査を依頼してみてはいかがでしょうか。

https://www.tokai-techno.co.jp/product-service/er-analysis/pfas/

まとめ

多岐にわたる製品の開発と製造に利用されてきたPFASは、近年健康リスクや環境への影響が指摘されています。私たちは、PFASに関する正確な知識を持つことで、その健康リスクや環境への影響を深く理解する必要があり、PFASを含む製品に関する情報を精査し、飲料水の安全性を確認すべきです。今後もこの問題に注視し、さらにPFASの規制動向に関する最新の情報を随時確認する必要性は今後も高まっていくでしょう。

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