コラム

グリーンウォッシュとは?具体事例や対策方法を紹介

更新日:2024.9.5

「地球にやさしい」「サステナブル」などの言葉を使いながらも、実際には環境に配慮していない企業の手法「グリーンウォッシュ」が問題視されています。欧州では、グリーンウォッシュを取り締まり、虚偽の環境広告を禁止する動きが広がっています。日本でも消費者庁が、根拠のない「生分解性」をうたう製品に対して行政処分を行うなど、厳しい対応を取っています。企業が真に持続可能な取り組みを行っているかどうかを見極めることが求められています。

グリーンウォッシュとは

グリーンウォッシュ(Greenwashing)とは、企業が自社の製品やサービスを環境に優しいものと見せかけたり、自社の環境保護活動を過剰にアピールするマーケティング手法です。「グリーンウォッシュ」という言葉は、「green」(緑、環境に優しい)と「whitewash」(隠蔽する、美化する)を組み合わせた造語です。グリーンウォッシュを用いたマーケティング手法では、企業がエコフレンドリーな姿勢を装いますが、多くの場合、製品や活動が実際に環境に持続可能である根拠は不十分です。つまり、真の環境保護努力を行っているわけではなく、消費者を誤解させて商品を購入させようとしています。

グリーンウォッシュの問題点

グリーンウォッシュは大きく、消費者、企業、環境それぞれの観点で問題が発生します。この現象は、消費者の誤解や経済的損失、企業の信頼失墜や法的リスク、さらに環境保護の妨げや環境負荷の増加といった多くの問題を引き起こします。

・誤った情報に基づく消費者の決定:

消費者がグリーンウォッシュを行っている企業・製品を選ぶことで、真に環境問題に取り組んでいる企業・製品を見落とす可能性があります。
例:ある企業が「生分解性プラスチック」として売り出した製品が、実際には特定の 条件下でしか分解しないものであった場合、消費者は環境に優しい選択をしたつもりが、誤った購入に繋がります。

・企業の信頼性への悪影響:

グリーンウォッシュが発覚すると、企業の信頼とブランド価値が大きく損なわれる可能性があります。
例:ある企業では、「エコボトル」と称してペットボトル飲料を販売していましたが、リサイクル率や環境負荷削減の効果が十分でないことが指摘されました。この結果、消費者や環境団体からの批判を受け、製品の環境配慮に関する説明を改善する必要が生じ、企業の信頼性が低下しました。

・環境政策への逆行:

グリーンウォッシュにより環境保護の取り組みが遅れると、深刻な影響が生じます。気候変動の悪化により異常気象や自然災害が増え、生態系の破壊で多くの動植物が絶滅の危機に陥ります。さらに、水質や大気の汚染が進行し、公衆衛生に悪影響を及ぼし、医療費の増加や労働力の低下を引き起こします。経済的損失も増大し、社会的不安定要因が増えることで紛争や対立が激化し、持続可能な未来を築く機会が失われます。

グリーンウォッシュの事例

日本でもグリーンウォッシュが発覚して企業に大きなダメージを与えた事例があります。以下にいくつかの例を紹介します。

エネルギー業界

例)あるエネルギー企業は、「クリーンエネルギー」として再生可能エネルギーの利用を大々的に宣伝していましたが、実際には化石燃料の利用が大半を占めていることが発覚しました。この企業は、再生可能エネルギーの導入が少なく、実際には環境負荷の高いエネルギー源に依存していたのです。

自動車メーカー

例)ある自動車メーカーは、「最も環境に優しい車」としてハイブリッド車を広く宣伝していましたが、実際には燃費性能がカタログ値と大きく異なることが発覚しました。このメーカーの車が実際には期待されていたほど燃費が良くないことが消費者によって指摘され、問題が表面化しました。

衣料品のエコラベル

例)ある衣料品メーカーは、「エコラベル」を使用して製品が環境に優しい素材で作られていると宣伝していました。しかし、実際にはその素材の一部が環境に有害な化学物質を含んでおり、製品が環境に優しいとは言えないことが発覚しました。消費者や環境団体からの調査により、この事実が明るみに出ました。

対応策

こういった事実が明らかになると、企業はまず公式な謝罪を行い、誤った情報を訂正します。次に、独立した第三者機関による評価や製品の厳密な検査を実施し、その結果を公表することになります。また、より厳しい基準を設定し、持続可能な取り組みを推進する計画を発表したり、環境団体や消費者との対話を深め、透明性を高めるために定期的な報告を行い、環境に配慮した経営を進めるための専門チームを設置することになります。こういった対応により、企業は信頼回復に努めていくことになります。

消費者が行うべきグリーンウォッシュの見分け方

実際には環境に優しいとされる取り組みが実態と乖離している「グリーンウォッシュ」も増えており、消費者が正しい選択をするためには注意が必要です。そこで、消費者がグリーンウォッシュを見分けるためのポイントを紹介します。

1. 具体的な証拠を確認する

製品やサービスが環境に優しいと主張している場合、その証拠を探しましょう。信頼できる認証マークや第三者機関の評価があるかを確認することが大切です。例えば、製品のパッケージや企業のウェブサイトで具体的なデータや報告書を確認することで、その信憑性を判断できます。

2. 曖昧な言葉に注意する

「エコフレンドリー」や「サステナブル」などの曖昧な言葉には注意が必要です。これらの言葉が具体的に何を意味するのか、どういった基準でそう主張しているのかを確認しましょう。明確な基準や具体的な実績が示されていない場合、その主張は信用できない可能性があります。

3. 詳細な説明を求める

環境性能についての具体的な説明やデータが提供されているかをチェックします。製品やサービスの環境影響についての詳細な情報が欠けている場合、その主張は信頼性が低い可能性があります。企業の公式サイトや製品の説明書を見て、具体的な数値や事例が記載されているかを確認しましょう。

4. 信頼性のある認証ラベルを確認する

エネルギースターやフェアトレード、グリーンシールなどの信頼性のあるエコラベルがついているかを確認します。これらのラベルは、第三者機関による厳しい審査を経て付与されるため、信頼性が高いです。

5. 企業全体の取り組みを調べる

その企業が他の製品やサービスでも持続可能な取り組みを行っているかを確認しましょう。一部の製品だけを強調している場合、他の部分では環境に配慮していない可能性があります。企業の年間報告書やCSRレポートを参照し、全体的な環境戦略を評価することが重要です。

6. クレームと実際の行動の一致を確認する

企業の宣伝内容と実際の行動が一致しているかを確認しましょう。例えば、再生可能エネルギーの利用を宣伝している企業が、実際には化石燃料に大きく依存している場合は注意が必要です。企業のエネルギー利用に関するデータや実際の事業活動を調べることで、その一致度を評価できます。

7. 環境団体や専門家の意見を参考にする

環境団体や専門家の意見を参考にすることで、企業の環境主張の信頼性を判断する手助けになります。信頼できる情報源からの評価やレポートを確認し、客観的な視点で企業の取り組みを評価しましょう。

8. 透明性を評価する

企業が自らの環境パフォーマンスについて透明に情報公開しているかを確認します。透明性が高い企業は、定期的な環境報告書の発行や、環境データのオンライン公開を行っていることが多いです。情報公開の頻度や詳細さをチェックし、透明性の高さを評価しましょう。

これらのポイントを意識することで、消費者はグリーンウォッシュを見分け、本当に環境に配慮した製品やサービスを選ぶことができます。環境意識の高い消費行動が、企業の持続可能な取り組みを促進し、より良い未来を築くための一助となるでしょう。

また、カナダのグリーンマーケティング・エージェンシーの Terrachoice 社は「 グリーンウォッシングの7つの大罪 」を2010年に発表しております。

こちらも企業の環境活動やPRがグリーンウォッシュに該当するのかの判断材料になるので目安の1つとしてご参考ください。

参照:https://www.ul.com/insights/sins-greenwashing

行政・企業が行うべきグリーンウォッシュの対策方法

これまでにあげてきたとおり、グリーンウォッシュは、企業の信頼性を損なうだけでなく、真の環境保護活動の進展を妨げる重大な問題です。こうした状況を受け、行政と企業が取り組むべき具体的な対策について考えてみましょう。

行政が行うべきグリーンウォッシュの対策方法

行政が行うべき対策としては、厳格な法律の制定と罰則の強化、専門の監視機関による定期的な監査、ガイドラインの提供、教育・啓発活動の実施、そして信頼性のある認証制度の推進が挙げられます。

国際的な規制としては、各国が独自にグリーンウォッシュに対する法整備を行っていますが、世界的な基準やルールを策定するためにいくつかの国際的な取り組みが進められています。国連やOECDなどの国際機関は、持続可能な開発や企業の社会的責任(CSR)に関するガイドラインを提供していますが、これらは必ずしも法的拘束力を持つものではありません。日本もこれに追随し、グリーンウォッシュに対する取り組みを強化しています。消費者は、これらの規制や認証を参考にして、より信頼性の高い環境配慮型製品を選ぶことが求められます。

企業が行うべきグリーンウォッシュの対策方法

企業が行うべき対策としては、透明性の確保、誠実なコミュニケーション、第三者認証の取得、環境管理システムの導入、持続可能なサプライチェーンの確立、そして従業員教育の強化が重要です。これらの対策により、グリーンウォッシュを防ぎ、信頼性の高い持続可能な取り組みを推進することができます。

これらの対策を講じることで、行政と企業はグリーンウォッシュを防止し、消費者や社会からの信頼を築くことができます。持続可能な未来を実現するためには、全てのステークホルダーが協力して環境に配慮した行動を取ることが重要です。

まとめ

このように、グリーンウォッシュは見かけだけのエコ活動であり、真の環境保護にはつながりません。本当に環境を守るためには、情報をしっかりと見極めることが大切です。

現在、日本国内ではグリーンウォッシュに対する明確な基準はありません。また、「SDGs」の推進にともなって、SDGsに貢献していると表明しているものの、実際には達成に貢献していない「SDGsウォッシュ」も存在します。当社のような第三者機関の提供する試験サービスを活用いただくことで、透明性のある情報開示を通じ、企業が消費者からの信頼を獲得することに繋がります。試験実施を検討されている事業者様は是非一度東海テクノにお問い合わせください。

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