活性炭とPFASの関係とは?活性炭はPFAS対策に有効?
2024年6月、岡山県内の水道水から高濃度のPFASが検出されたことがニュースで大きく取り上げられ、社会問題となりました。その汚染源として水源ダムの上流に野積みされた使用済みの活性炭が発生源として疑われているとのこと。一方で活性炭はPFAS除去の有効な手段であることもよく知られています。PFASと活性炭にはどのような関係性があるのか見ていきましょう。
そもそもPFASとは
PFAS(ペルフルオロアルキル化合物)は、炭素-フッ素結合を含む合成化学物質で、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)やPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)などが代表的です。これらは耐熱性、耐水性、耐油性に優れ、衣類やカーペットの撥水加工、食品包装材、消火剤、工業プロセスなどに広く使用されています。
PFASは環境中で非常に安定しており、分解されにくいため「永遠の化学物質」とも呼ばれ、長期間にわたり環境に残留する特性があります。また、水道水や地下水、河川、土壌に汚染が拡がり、食物連鎖によって農作物や魚介類に蓄積する可能性があります。高濃度のPFASに長期間曝露されると、内分泌系の障害、免疫系の抑制、肝機能障害や肝がんのリスク増加、発育障害などの健康問題が懸念されています。このため、多くの国や地域ではPFASの使用と排出に関する規制が強化されており、日本でも厚生労働省がガイドラインを策定し、水道水中のPFAS濃度の管理を行っています。
PFASの除去には活性炭が有効とされています。活性炭は多孔質構造によりPFASを吸着し、水から取り除くことができますが、使用済みの活性炭が適切に処理されない場合、それ自体が新たな汚染源となるリスクもあります。このような背景から、活性炭の使用と管理に対する慎重なアプローチが求められています。
なぜ活性炭からPFASが検出されるのか?
活性炭は、その優れた吸着性能により、水処理や空気清浄などの現場で広く使用されています。特に水処理においては、活性炭がPFASなどの有害物質を効率的に吸着し、水から取り除くために重要な役割を果たしています。
しかし、使用済みの活性炭には吸着された有害物質が残っているため、適切に処理しなければ環境への二次的な汚染源となるリスクがあります。具体的には、使用済みの活性炭が不適切に廃棄されたり、再利用されたりすると、その中に保持されていたPFASが再び環境中に放出される可能性があります。また、活性炭は水処理以外にも化学工業、食品工業、医薬品製造など多くの業界で使用されており、これらの業界で使用された活性炭もまた、吸着した有害物質を含んでいる可能性があります。
このように、活性炭はその高い吸着性能によって有害物質の除去に貢献しますが、使用済みの活性炭の適切な処理が欠かせません。特にPFASのような安定した化学物質の場合、その処理方法には細心の注意が必要なのです。
使用済み活性炭の危険性
使用済みの活性炭を適切に処理せずに放置すると、大きな問題につながる可能性があります。これは、吸着された有害物質が再び環境中に放出されるリスクがあるためです。特にPFASのような安定した化学物質は分解されにくいため、放置される期間が長くなるほどそのリスクが大きくなる可能性があります。例えば岡山県の事例では、使用済みの活性炭に吸着されたPFASが流域河川に流出し、水道水への汚染を引き起こしました。ずさんな使用済み活性炭の放置がこのような事態を引き起こしたとも言えますが、実際には使用済み活性炭の取り扱いに関して明確なルールが存在しない場合が多いのが現状です。このため、使用済み活性炭の適切な処理と管理が徹底されていないことがしばしば問題となり、それが環境汚染の原因となることがあります。
このような背景から、使用済み活性炭の取り扱いには細心の注意が必要であり、環境への影響を最小限に抑えるための新たな管理ルールの策定が求められています。
活性炭の有効な利用方法
そもそも活性炭は、その多孔質構造と広い表面積により、PFASや重金属、有機化合物などの有害物質を効率的に吸着する能力があり、水処理や空気清浄において重要な役割を果たしています。適切に使用される活性炭は、工業排水処理や土壌修復などで環境保護に大きく貢献し、排水の環境への影響を最小限に抑え、健康被害のリスクを低減します。また、使用済みの活性炭も再生処理を行うことで再利用が可能であり、資源の有効活用を促進し、廃棄物の削減にも寄与します。実際の事例では、ある都市の水道局が活性炭を用いた水処理プロセスによりPFAS濃度を安全基準以下に低減することに成功したり、化学工場が排水処理に活性炭を導入して環境規制をクリアし企業イメージを向上させたりしています。
活性炭の有用性を最大限に引き出すためには、使用済みの活性炭を適切に処理し、再利用や安全な廃棄を徹底することが不可欠であり、規定に基づいた管理と取り扱いを行うことで、その効果を持続的に発揮させることが可能です。活性炭は、適切に取り扱えば有害物質の除去に非常に有効であり、環境保護や水質浄化において重要な役割を果たすため、今後もその適切な利用と管理を推進することで、持続可能な環境保護に貢献することが期待されます。
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活性炭は適切に管理されれば非常に有効で、再利用も可能です。今後は、活性炭の利用と廃棄に関する明確な規定を整備し、適切な管理と取り扱いを徹底することで、環境への影響を最小限に抑えることが求められます。
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